4.

 

 

「……」
「……」
「……」
「……」

 

闇が晴れた時、そこには何もなかった。
ただの、いつもの警備員室でしかなかった。

 

「……化け物、どうなったんだ?」
「さあ…」
「気配が完全に消えている。消滅したとみて、間違いないだろうが…」
「……そだね」

 

しばらくの無言。

 

「……帰ろっか」
「そうだな」
「ああ」
「長居は無用だな」

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

「それで、ケイビインは見つかったのか?」

数日後。
またしても人間界へやってきた蓮は、浦飯家へ押しかけていた。
最初は桑原家へ行ったのだが、叔母に蛍明は浦飯家へ行ったことを教えられたためである。
折良く、碧も来ており(というより、春休みが明けたので、学年上がってすぐの学力試験を明日に控えて、勉強中なのである)、他の家族は留守。

寵は今、蓮の分のお茶を煎れに階下へ降りていた。

「ああ。学校から離れた倉庫で酔いつぶれてた。10日も酔いつぶれるなんて無理だからな。妖力で操作されてたんだろう」

シャーペンをクルクル回しながら言う碧。
手の傷は、もう治っている。

 

「それで、どうだった?」
「ああ。あれか……面倒だったぞ。母さんにバレないように、書庫荒らすのは」
「ご苦労さん……じゃなくて!」

違うだろ! と、テーブルを叩く蛍明。
碧も横でため息をついていた。

 

「分かってる……寵はラル、光能者だ」
「ラル、か…」
「なるほどな……」

それだけで十分だった。

 

「けど、それじゃあ何で今までは?」
「多分、本人が気付いてないんだろう」
「……言った方がいいのかな?」

碧が言って、姉妹が考え込む。

本人が気付いていない力。
でもそれはとても大きなもので…。
知っておくべきなのかもしれない。

けれど……。

 

 

ガチャ

 

「蓮、お待たせ。あれ? どうしたの? 三人して難しい顔して」
「……寵」
「ん? 何?」

「菓子が切れた」

がくっとこける寵。

「何だよー。それなら、さっき言ってくれればいいのに」
「蓮が全部食べちゃったんだよ」
「全く、もう」

呆れながら、それでも寵は笑っていた。
お茶を置いて、再度階下へ引き返す。

 

「……今は、まだ、秘密だな」
「そうだな」
「いずれ、悟るだろう…」

 

 

まだ、言えない。

 

いつか、本人が気付くその時まで。

 

 

それは、春の夜の秘密。

 

 

 

 

 

〜後書〜

……いきなり、駄作ですみませんです(爆)
何で私はこんなのしかかけないんだ〜!(泣)
こんなのですいません。
よかったら、受け取って下さいです。

ちなみに、背景の花は連翹(れんぎょう)、花言葉は「秘密」だそうです。

 

 

←戻る